この記事ではものづくり補助金の概要についてポイント別に解説していきます。
もくじ
ものづくり補助金とは?どんな補助金?
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上に繋がる革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うために必要な設備投資などに利用できる補助金です。
2014年に経済産業省と中小企業庁によって作られて以降、2021年まで毎年実施されており、中小企業向けの新たな定番大型補助金の立ち位置となりつつあります。
2021年度からは新型コロナウイルス感染症の影響を受けた社会に対応する新しいビジネスモデルへの転換を支援する「低感染リスク型ビジネス枠」も新たに設立されました。
革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善・ビジネスモデル転換など、「中小企業の新たなチャレンジ」を支援する趣旨の補助金と言えるでしょう。
ものづくり補助金の補助額と補助率
申請枠 | 補助金額 | 補助率 |
一般形 通常枠 | 100~1,000万円 | 1/2※ |
一般形 低感染リスク型ビジネス枠特別枠 | 100~1,000万円 | 2/3 |
グローバル展開型 | 1,000万円~3,000万円 | 1/2※ |
申請枠は「通常枠」、「低感染リスク型ビジネス枠特別枠」、「グローバル展開型」の3枠が用意されています。
いずれも条件を満たした中小企業・小規模事業者・非営利活動法人が補助対象となります。
大企業は申請できません。
通常枠
「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資に補助が出ます。
補助額は100万円~1,000万円です。
補助率は中小企業が対象経費の1/2、小規模事業者は2/3になります。
低感染リスク型ビジネス枠特別枠
ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの転換を行うための前向きな投資に対して補助が出ます。
補助対象経費全額が以下のいずれかの要件に合致する投資であることが条件となります。
- 物理的な対人接触を減らす革新的な製品・サービスの開発
- 物理的な対人接触を減らす製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
- ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資
補助額は100万円~1,000万円です。
補助率が対象経費の2/3になるので、通常枠よりも自己負担額を下げることができます。
また、低感染リスク型ビジネス枠で申請を出して不採択となった場合、通常枠にて再審査を受けられます。
一度の申請で2度のチャンスが与えられることになるので、上記の条件を満たす方は補助率、審査において優遇される低感染リスク型ビジネス枠での申請をオススメします。
グローバル展開型
海外事業の拡大・強化などを目的とした「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資に補助が出ます。
申請する事業は「海外直接投資」、「海外市場開拓」、「インバウンド市場開拓」、「海外事業者との共同事業」の4つの類型のいずれかに当てはまる必要があります。
補助額は1,000万円~3,000万円です。
補助率は中小企業が対象経費の1/2、小規模事業者は2/3になります。
グローバル展開型は補助額が最大3,000万円と通常枠よりも大幅にアップしているのが特徴です。
その代わり、海外関連事業である必要があるなど申請条件は一般枠よりも狭められています。
ものづくり補助金の申請には事業計画が必要!
ものづくり補助金の申請では、以下の3つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが申請に必要になります。
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)を年率平均3%以上増加すること
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
給与アップなど、補助金を活用して出した利益を従業員へしっかり還元する事業計画を立てる必要があるというわけですね。
上記を満たしていないことが発覚した場合、一度採択された補助金の返還義務が発生するなど、かなり厳しいペナルティーが設けられています。
必ず要件を満たした事業計画を立て、従業員への計画表明も忘れずに行いましょう。
今年度の募集においては、補助事業実施機関に新型コロナウイルス感染症の影響を受けることを想定して、上記の賃上げおよび付加価値額増加の目標を据え置きし、その翌年度から3~5年の間にこの目標値を達成する計画とすることが可能となっています。
ものづくり補助金の公募要領は総合サイトでダウンロード可能
ものづくり補助金の公募要領は、補助金の公式総合サイトからダウンロードできます。
「ものづくり補助金 8次締め切り分公募要領」
→https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/8th/reiwakoubo_20210830.pdf
「ものづくり補助金 公募要領概要版」
→https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/8th/gaiyou_20210830.pdf
ものづくり補助金には公募要領とは別に、公募要領概要版という簡易バージョンの資料も用意されています。
概要版はイラストが多く、非常に読みやすい作りになっているので、まずは概要版を読んでから、公募要領を読むのが頭に入ってきやすいと思います。
とはいえ対象経費などの詳細な説明などは公募要領にしか記載がない情報も多いので、申請を出す方は概要版だけで済ませず、必ず公募要領も読み込みましょう。
他にも総合サイトにはよくある質問のまとめなど、申請に役立つ情報が多く掲載されているので、申請を出す方はブックマークをしておくのがオススメです。
「ものづくり補助金 総合サイト」
→https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
補助金事務局によるサポートセンターも完備されているので、申請準備でつまずいたときなどは事務局に問い合わせてみるのも良いでしょう。
<応募申請書類お問合せ先>
ものづくり補助金事務局サポートセンター
受付時間:10:00~17:00(土日祝日および12/29~1/3を除く)
電話番号:050-8880-4053
ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能
企業向けの補助金だととらえられがちなものづくり補助金ですが、個人事業主の方も要件を満たせば申請が可能です。
公募要領の補助対象者の項目に、
「中小企業者:資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。」
という記載があります。表はこちらです。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業※1 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業※2 | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
※2:自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く
公募要領内で個人、つまり個人事業主も対象と明言されています。
さらに常勤従業員数が、製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社又は個人事業主は小規模企業者・小規模事業者枠となり、補助率が2/3にひきあがります。
従業員数が少なく、法人化していない個人事業主は、小規模事業者としてより多くの補助金を受け取れる可能性があるので、補助金申請にチャレンジする価値は大いにあると思います。
公募要領でも、提出書類など個人事業主が準備する場合の補足説明が各項目ごとに載っているので申請する方はよく読んでみてくださいね。
ものづくり補助金の申請は電子申請オンリー!
ものづくり補助金は電子申請のみでの受付となります。
電子申請には事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要になります。
GビズIDは補助金申請など、行政サービスを利用する際にログインに必要になる事業者別のIDです。
GビズIDの取得には 印鑑証明書・印鑑登録証明書の提出が必要になります。
上記の必要書類を提出したうえでIDの取得には2~3週間ほどの時間がかかるので、補助金申請を出す方はなるべく早めに前もってGビズIDを取得しておきましょう。
GビズIDを取得した後は、電子申請システム操作マニュアルを参考にしながら申請作業を行ってください。
電子申請の特性上、締め切り間近に申請サイトが混みあってアクセスしづらくなるなどのリスクがあるため、余裕をもった申請を心がけましょう。
ものづくり補助金のスケジュールは?
2021年度のものづくり補助金は6月、9月、12月、3月の計4回公募を行う予定です。
どの公募も応募期間2か月、審査機関1ヶ月の期間で行われます。
現在申請受付中の第8回公募のスケジュールは以下の日程になっています。
公募開始:2021年8月17日(火) 17時~
申請受付:2021年9月 1日(水) 17時~
応募締め切り: 2021年11月11日(木) 17時
ものづくり補助金は一度不採択となってしまっても、次回以降の公募で再申請を出すことが可能です。
2021年度中もあと数回公募が残されているので、不採択となってしまった事業者の方もあきらめずに再チャレンジしてみましょう。
まとめ
今回はものづくり補助金の概要について解説しました。
会社によってはなかなか具体的にたてることも少ない事業計画、補助金申請をきっかけに計画書の作成にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
頭の中だけではなく、実際に事業計画を書きだしてみることで課題点や今度の展開が見えてくるかもしれません。