コラム

ものづくり補助金の対象経費を徹底解説!

補助金の申請の前に、対象となる経費はしっかりと確認しておきましょう!

対象外であれば、申請がまったくの無駄となってしまいます。

特にものづくり補助金の場合は、申請する類型によって経費が異なるので注意が必要です。

例えば、販売促進費は低感染リスク型ビジネス枠のみ対象となるということなど、細かいですがとても重要な所なので、しっかりと確認しておきましょう。

※ものづくり補助金全体の概要説明についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

ものづくり補助金の対象経費

対象経費は以下の10項目です。

9・10はグローバル展開型・低感染リスク型ビジネスのみ対象なので注意してください。

⑴機械装置・システム構築費

⑵技術導入費

⑶専門家経費

⑷運搬費

⑸クラウドサービス利用費

⑹原材料費

⑺外注費

⑻知的財産検討関連経費

⑼海外旅費(グローバル展開型)

⑽広告宣伝・販売促進費用低感染リスク型ビジネス)

これらの経費について順に解説していきます。

(1)機械装置・システム構築費

機械装置・システム構築費とは、設備導入に関わる費用であり、ものづくり補助金でメインの経費です。

ものづくり補助金において、導入する設備選びは採択率を大きく左右することになるので、しっかりと自社にあった設備を選びましょう。

→ものづくり補助金!採択率を上げる導入設備選びのポイント!

一般的な製造設備はもちろんですが、自社で使うシステム・ソフトウェア・アプリケーションなどもこちらの費用の対象内となっています。

⑴においては公募要領で、

①専ら補助事業のために使用される機械・装置・工具・器具(測定器・検査治具・電子計算機・デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する費用

②専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入、構築、借用に要する経費

③ ①若しくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費

と記されています

自社製作の経費は対象内だが、経費計上に手間がかかる!

設備を自社製造する場合も対象となりますが、経費計上が非常に手間なのであまりおすすめしません。

こまかなパーツの1つ1つの見積書(複数)・発注書・納品書・請求書・支払い証明書を用意しなくてはならないので、現実的に申請するのは厳しいでしょう。

量産・販売生産用の設備は対象外!

対象となる設備は試作に使われるもののみです。

補助事業終了後に生産用の設備として使用することができますが、転用手続きを行う必要があります。

リースの費用は補助事業期間内のみ対象!

設備をリースする場合も対象ですが、対象となる経費は補助事業期間内(最長10ヶ月)の費用のみです。

オーダーメイドの設備は納期に注意!

外部に設備製作を依頼する場合も対象となりますが、納期に注意が必要です。

発注できるのが、交付決定から1~2ヶ月後で、補助事業期間終了の2~3週間前までには納品・検品等されている必要があるので、製作に時間のかかる設備は申請できません。

オーダーメイドでなくても、納品に時間がかかる設備はしっかりとメーカーに確認

をしておきましょう。

システム構築にかかる人件費は対象外

社内でシステム構築を行う場合の人件費は対象外となっています。

外部に構築を外注する場合は補助金の対象費用として申請が可能です。

パソコンなどの汎用機は対象外!

汎用性の高い機械は対象外です。

パソコン・スマホ・タブレットなどは対象外となります。

(2)技術導入費

要項には、本事業を遂行するために必要な知的財産権等の導入に要する費用と書かれていますが、簡単に言うと、他者から権利を借りたりした際のライセンスフィーなどが当たります。

ライセンスフィーを経費として申請するには、書面での契約締結が必須となっています。

(3)専門家経費

本事業を行うために支払う専門家費用のことを指します。

学識経験者・専門家(兼業・副業・フリーランスとはない)へ依頼した費用が対象となりますが、複数の見積書を提出する必要があります。

・大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師:5万円/日

・大学准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネーター:4万円/日

が上限とされています。

(4)運搬費

運搬費・宅配・郵送料もものづくり補助金の対象経費です。

設備購入の際に発生した運搬費は、(1)機械装置・システム構築費として申請します。

(5)クラウドサービス利用料

要領はサーバー費用・プロバイダ契約料・通信料などが対象と書かれています。

上記はあくまで補助事業に必要だと判断されたもののみ対象です。

また他事業と共用するものは対象外とされていますので、別事業でも使っているサーバー費用等は申請することができません。

クラウドサービス利用料と書かれていますが、単に既存のクラウドサービスを導入することによる課題解決だけでは、補助の対象にはなりません。

例えば、サブスク型の顧客管理システムを導入して効率化します。などのものはものづくり補助金は対象外です。

実際に採択されている例でいうと、

・クラウドシステム導入にって運送事業の効率化

というものがありますが、自社でクラウドシステムを構築し課題解決しているということですので、この際のクラウドシステム導入費用は、(1)のシステム構築費にあたります。

(6)原材料費

試作品を作る際に必要な原材料費のみ対象です。

補助事業期間内に使い切った分だけ、申請をすることができます。

帳簿などでどれたけ試作品用に使用したのかを、管理しておかなくてはなりません。

また作成した試作品は全て、実物または写真を保管しておく必要があります。

(7)外注費

製品・サービスの開発に必要な加工や設計・デザイン・検査などの外注費用を指します。

これらの費用を申請するためには、必ず書面で依頼先と契約を交わす必要があります。

上限額が設けられており、補助対象経費総額の1/2までとされています。

設備の外注を行う際の費用は、(1)の機械装置費として申請しますので、上限額はありません。

(8)知的財産権等関連経費

自社の商品やサービスの知的財産権の取得経費を指します。

具体的には特許庁に支払う費用や、弁理士に支払う費用などが対象です。

本事業以外の成果である発明は対象外となっています。

(9)海外旅費

グローバル展開型のみ対象となる経費です。

補助対象経費の1/5まで申請することができます。

本事業の海外事事業の拡大に際し、必要不可欠な海外渡航・及び宿泊に関する経費が対象とされています。

旅費の定義は「旅費支給に関する基準」の通りとされていますので、事前に確認しておきましょう。https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/bessi1ryohikitei_0807.pdf

(10)広告宣伝・販売促進費

低感染リスク型ビジネス枠のみ対象となる経費です。

補助対象経費総額の1/3まで申請することができます。

具体的には

・広告の作成費用

・広告掲載費用

・展示会出展費用

・セミナー開催

・市場調査

・営業代行利用

・マーケティングツール使用料  等

にかかる経費が対象となります。

注意が必要なのが、必ず補助事業期間内に広告が掲載されている必要があることです。

制作や掲載に時間がかかりそうなものはなるべく避けたほうが良いでしょう。

申請する経費の総額に注意!

申請する補助対象経費の額には注意が必要です。

補助金の申請金額が下限の100万円以下であったり、補助上限額を超えてしまうと不採択となってしまいます。

つまり1/2の補助率の枠で申請をした場合、補助対象経費は200万円〜2,000万円で申請する必要があります。

申請者補助金額補助率申請する補助対象経費
通常枠中小企業100万円~1,000万円1/2200万円~2,000万円
通常枠小規模事業者100万円~1,000万円2/3150万円~1500万円
低感染リスク型ビジネス100万円~1,000万円2/3150万円~1500万円
グローバル展開枠中小企業1,000万円~3,000万円1/22,000万円~6,000万円
グローバル展開枠小規模事業者1,000万円~3,000万円2/31,000万円~4,500万円

設備投資は全体経費のいくらまで使える?

ものづくり補助金において、設備投資の経費には上限割合などは設けられていません。

設備投資の費用には下限が設けられています。単価50万円(税抜き)以上の設備投資が申請において必須になるので、注意しておきましょう!

その他経費の上限額・上限割合は?

上記にも記載がありますが、設備投資以外の対象経費には、申請の上限額や上限割合が設けれられています。

つまり安い設備を買って、残りの補助対象経費を全部原材料費にあてる!などはできません。

設備投資以外の経費の上限金額は全て合わせて500万円までです。

また下記の経費は経費の上限割合が設けられています。

・技術導入費

・知的財産の取得経費

・広告宣伝・販売促進日費 :経費総額の1/3まで

・外注費

・専門費 :経費総額の1/2まで

・海外旅費:1/5まで

ものづくり補助金の対象経費は必ず事前に確認を!

冒頭でも述べましたが、申請した経費が対象外であれば、費やした時間が全くの無駄となってしまいます。

また経費の申請がしっかりと間に合うものなのか、という点も非常に重要です。

間に合わなければ、せっかく採択されていても補助を受けることができず全額負担となってしまいます。

対象経費には細かな規定があるので、しっかりと確認しておきましょう。