この記事ではものづくり補助金の新たな特別枠、低感染リスク型ビジネス枠についてポイント別に解説していきます。
※ものづくり補助金全体の概要説明についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
もくじ
ものづくり補助金の低感染リスク型ビジネス枠特別枠とは?
低感染リスク型ビジネス枠は、中小企業・小規模事業者が新型コロナウイルス感染拡大の影響を乗り越え、ビジネスモデルの転換に取り組むための前向きな投資を支援するものづくり補助金の特別枠です。
補助額は100万円~1,000万円、補助率は対象経費の2/3となっています。
また、低感染リスク型ビジネス枠で申請して不採択となった場合はそのまま通常枠でも再審査を受けられます。
再審査で通常枠採択となった場合は通常枠の補助率1/2が適用されます。
通常枠よりも補助率が高く、審査でも優遇されるので、申請要件に合致する方はまずは低感染リスク型ビジネス枠での申請にチャレンジするのが良いかと思います。
低感染リスク型ビジネス枠特別枠の申請要件
特別枠の申請要件について解説します。
すべての申請枠と同様に事業計画の策定が必要
まず、ものづくり補助金全体の申請要件である事業計画の策定が特別枠においても必要になります。
以下の3つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが申請に必要になります。
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)を年率平均3%以上増加すること
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
事業計画が上記の3つを満たせていなかった場合、一度採択された場合でも補助金の返還義務が発生するので要注意です。
特別枠独自の申請要件
さらに、低感染リスク型ビジネス枠特別枠の申請には、補助対象経費全額が、以下のいずれかの要件に合致する投資である必要があります。
1.物理的な対人接触を減らす革新的な製品・サービスの開発
AI・IoTなどの技術を活用した遠隔操作や自動制御などの機能を持つ製品や部品の開発、オンラインビジネスへの転換などが具体例で挙げられています。
2.物理的な対人接触を減らす製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築などが具体例で挙げられています。
3.ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資
キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな効果が見込まれない機器の購入は補助対象経費として認められません。
単純な感染対策防止のための設備導入のみだと採択されづらいということだと思います。
低感染リスク型ビジネス枠で採択された後、補助金の交付申請や確定検査などの際に事業が上記要件を満たしていないことが発覚した場合、通常枠の補助率1/2が適用されることになります。
低感染リスク型ビジネス枠の最大のメリットである補助率2/3が適用されなくなってしまうので、必ず申請要件を満たした事業計画を策定しましょう。
低感染リスク型ビジネス枠特別枠の対象経費は?
低感染リスク型ビジネス枠は
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費
が主な対象経費となります。
低感染リスク型ビジネス枠のみ対象の「広告宣伝・販売促進費」
広告宣伝・販売促進費は低感染リスク型ビジネス枠のみ対象経費として認められています。
事業で開発する製品・サービスにかかるパンフレット、動画、写真などの広告の作成および媒体掲載、海外を含めた展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用などにかかる経費が対象となります。
広告宣伝・販売促進費は補助対象経費総額(税抜き)の3分の1を上限額として申請を出すことができます。
他の申請枠と同様に50万円以上の設備投資が必要
ものづくり補助金の申請には単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必ず必要になります。
低感染リスク型ビジネス枠においても設備投資は必須条件となるため、申請する際は補助対象経費に50万円以上の設備投資が含まれているかをよく確認するようにしましょう。
補助対象経費については各区分ごとに対象となる経費、対象外となる経費の具体的な説明が公募要領に掲載されているのでよく読み込むようにしましょう。
「ものづくり補助金 8次締め切り分公募要領」
→https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/8th/reiwakoubo_20210830.pdf
低感染リスク型ビジネス枠特別枠の採択率は?
低感染リスク型ビジネス枠の採択率は、どれくらいで推移しているのでしょうか?
特別枠の公募が開始されていた2020年度2次公募から2021年度の6次公募までの採択結果を調べてみました。
申請数 | 採択数 | 採択率 | |
2次(2020) | 3321 | 1773 | 53.3% |
3次(2020) | 2363 | 1076 | 45.5% |
4次(2020) | 7103 | 1748 | 24.6% |
5次(2021) | 2400 | 963 | 40.1% |
6次(2021) | 2485 | 1195 | 48.0% |
最新の2021年度6次公募では採択率は48.0%とけして低くはない採択率となっています。
現在の低感染リスク型ビジネス枠としての特別枠の公募は5次公募からになるので、そこで申請数や採択率に一度大きな変動が起きていることが分かります。
2021年度は同じく国の大型補助金である事業再構築補助金の公募がはじまっているため、2つの補助金に応募が分散されて比較的採択率が高くなる傾向が続いているようです。
事業再構築補助金は2021年度で終了予定の可能性もあるため、2022年度の公募からはまたものづくり補助金に応募が集中する可能性があります。
上記の事情があるため、ものづくり補助金を申請したい方は2021年度中の申請がねらい目かもしれません。
2021年度中は8次・9次公募がまだ残されています。
特別枠の申請にチャレンジしたい方は早めの準備を心がけましょう。
ものづくり補助金の事務局HPにて、これまでに採択された事業一覧が公開されているので、事業計画の参考にしてみるのもいいでしょう。
まとめ
- 特別枠の補助額は100万円~1,000万円、補助率は対象経費の2/3
- 特別枠で不採択となっても通常枠で再審査を受けられる
- 特別枠では広告宣伝・販売促進費が対象経費に追加されている
今回は低感染リスク型ビジネス枠特別枠について解説しました。
補助率の高さや対象経費の多さなどなにかと優遇される低感染リスク型ビジネス枠、申請要件を満たせる方はぜひチャレンジしてみてください!
新型コロナウイルス感染症の影響を受けての特別枠となるので、2022年度以降も枠が残されるかはまだ分かりません。
申請したい方は早めの申請を心がけましょう。