コラム

事業再構築補助金を個人事業主が申請する場合のポイント解説!

この記事では、個人事業主の方が事業再構築補助金を申請する場合のポイントについて解説していきます。

※事業再構築補助金全体の概要説明についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?

結論から言うと、事業再構築補助金は個人事業主でも申請が可能です。

事業再構築補助金は中小企業庁が出している補助金になります。
公募要領や公式HPにも、中小企業向けの補助金ですという説明が目立つので、個人事業主やフリーランスは対象外?と思ってしまう方も多いかもしれません。

補助金の公募要領内の、補助事業者の項目を見ると対象となる「中小企業者」の定義として、「資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること」という記載があります。
念のため、公募要領内にて指定されている表は以下となります。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業※15,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業※23億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
※1:ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
※2:自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く


この基準は中小基本法第2条第1項と同内容になります。
つまり、個人事業主は法律的にも中小企業にカウントされているわけですね。

もちろん個人事業主だと採択率が下がる、法人だと有利のような審査基準はありません。
すべては申請要件を満たした上で、事業計画書の内容で判断されます。

多くの補助金で、対象が中小企業となっている場合、この中小企業法に基づいて中小企業を定義していることが多いので、個人事業主・フリーランスの方が補助金を申請する場合は、参考にしてみてください。

個人事業主が採択された場合の補助金額の上限は?

事業再構築補助金の申請枠で個人事業主が申請可能なのは通常枠・特別枠の2つになります。

通常枠の金額上限は6,000万円

通常枠で採択された場合、最小100万円~最大6,000万円の補助金が出ます。
補助率は対象経費の2/3です。

特別枠の金額上限は従業員数によって異なる

緊急事態宣言特別枠で採択された場合は、従業員数によって補助額が以下の通り変わります。
補助率は中小企業(個人事業主)の場合、対象経費の3/4です。

従業員数補助額
5人以下100万~500万円
6人~20人100万~1,000万円
21人以上100万~1,500万円

事業再構築補助金を個人事業主が申請する場合の注意点

補助金の申請要件や提出書類に関する注意点について解説します。

申請要件をしっかりチェックしておこう

事業再構築補助金は個人事業主独自の申請枠があるわけではありません。
中小企業・中堅企業と同様の要件を満たすことが申請の条件です。

通常枠に申請する場合

以下の3つの要件を満たすことが申請に必要になります。

  • 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
  • 経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
  • 事業終了後3~5年で、付加価値額(利益)の年率平均3.0%以上、または従業員一人当たりの付加価値額の年率平均3.0%以上の増加を見込める事業計画を認定経営支援機関と共同で策定する

また、電子申請にあたり、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須となります。
IDの取得には印鑑証明書・印鑑登録証明書の提出が必要な他、取得完了まで2~3週間の時間がかかります。

事業再構築補助金を申請する場合はあらかじめ早めにGビズIDを取得準備を進めましょう。

緊急事態宣言特別枠に申請する場合

事業再構築補助金の緊急事態宣言特別枠に申請する場合は、通常枠で必要な3つの要件に加え、以下の要件を満たすことで申請可能になります。

  • 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1〜6月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること

特別枠は補助率が通常枠よりも高いのと、特別枠で不採択になった場合に通常枠で加点されて再審査してもらえるのが大きな特徴です。
申請要件を満たす個人事業主・フリーランスの方は、有利に審査してもらえる特別枠で申請を出すのがおすすめです。

提出書類に要注意

事業再構築補助金では、通常枠・特別枠どちらも売り上げが減少していることが申請要件となっています。
法人でも個人事業主でも、申請要件は変わりませんが、提出に必要な書類が異なってくるので注意してください。
例えば、個人事業主の場合は売上高減少の証明にあたり、以下の書類すべての提出が必要になります。

(1)申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書第一表の控え(1枚)
(2)(1)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある方は、その控え(両面) ※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出してください。
(3)受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
(4)申請に用いる任意の3か月(2020年又は2021年)の売上がわかる確定申告書第一表の控え(1枚)
(5)(4)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある方は、その控え(両面) ※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出してください。

「事業再構築補助金 公募要領(https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf)」より引用

上記の書類は申請要件の1つである売上高減少証明を証明するのに必要な書類。
申請にあたっては事業計画書をはじめとして他にも提出種類が複数あるので、必ず公募要領などの公式情報を確認しながら一つずつ準備を進めましょう。
『事業再構築補助金 公募要領』→https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf

補助金事務局が必要書類に関して、法人の場合・個人事業主の場合別に注意事項を分かりやすくまとめてくれているので、こちらも合わせて確認してみてください。
『事業者向け書類提出注意事項』→https://jigyou-saikouchiku-shinsei.jp/documents/%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%80%85%E5%90%91%E3%81%91%E6%9B%B8%E9%A1%9E%E6%B3%A8%E6%84%8F%E4%BA%8B%E9%A0%85.pdf

すでに採択結果が発表された第1回公募の集計によると、提出書類の不備などで審査に進めなかった申請が多く見られたようです。
これから申請を出す方は、提出書類がそろっているか、記入内容に不備がないかをしっかりチェックしてから申請に臨みましょう。
決算関係の書類など、普段扱わないややこしい内容のものも含まれているので、協力先の認定支援機関や、普段お世話になっている税理士さんなど、書類仕事に慣れている方によるダブルチェックもお願いしておきましょう。

不明点がある場合は事業再構築補助金事務局に問い合わせを

事業計画書の作成や書類準備にあたり、不明な点が出てきた場合は補助金事務局のコールセンターに問い合わせてみましょう。

≪事業再構築補助金事務局コールセンター≫
受付時間:9:00~18:00(日・祝日を除く)
電話番号:<ナビダイヤル>0570-012-088
<IP電話用> 03-4216-4080


事業計画書は認定支援機関と共同策定することが義務付けられているので、協力先の認定支援機関に相談してみるのも良いでしょう。

まとめ

  • 事業再構築補助金は個人事業主でも申請可能
  • 中小企業と同様に、申請に必要な3つの要件を満たす必要あり
  • 事業計画書を作成する前に、認定支援機関へ相談しよう
  • 電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントを前もって取得しよう
  • 個人事業主と法人で、提出書類が異なる場合があるので公募要領などをよく読もう

今回の記事では事業再構築補助金を個人事業主・フリーランスの方が申請する際に気を付けておきたいポイントについて紹介しました。
昨年新型コロナウイルス感染症により、売り上げに影響を受けた飲食店などの店舗経営などをされている方は、個人事業主の場合も多いと思います。

採択されれば持続化給付金などよりも大きな金額を受け取れる事業再構築補助金。
この機会に個人事業主の方もぜひ申請に挑戦してみてはいかがでしょうか。