もくじ
ものづくり補助金の導入設備選びは採択率アップのカギ!
ものづくり補助金において、導入設備選びは非常に重要です。
一般的に、補助金の趣旨に沿っていて自社の状況に合った設備を選ぶことが重要と言われていますが、ポイントは
誰が、どんな設備を、何のために導入するかという点です。
本記事ではこのポイントをさらに深掘り、採択されやすい導入設備の選び方について解説していきます。
※ものづくり補助金全体の概要説明についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
ものづくり補助金の対象経費は?
導入設備の解説の前に、ものづくり補助金はどのような経費が対象なのか?ということを簡単に解説します。
対象経費
ものづくり補助金の対象経費は、(1)~(10)に細かく分けられています。
⑴機械装置・システム構築費
⑵技術導入費
⑶専門家経費
⑷運搬費
⑸クラウドサービス利用費
⑹原材料費
⑺外注費
⑻知的財産検討関連経費
⑼海外旅費(グローバル展開型)
⑽広告宣伝・販売促進費用(低感染リスク型ビジネス)
これらは大きく分けると
設備投資に関わる費用:(1) (7)
その他の費用:(2) (3) (4) (5) (6) (8) (9) (10)
に分かれます。
ポイント
ものづくり補助金の対象経費は設備投資がメインです。
導入する設備は最低でも50万円以上である必要があります。
また設備投資以外の費用は、総額で500万円までしか申請することができません。
経費によっては上限割合が設けられているので注意が必要です!
ものづくり補助金の対象経費に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ものづくり補助金で対象になる設備はどんなもの?
対象となる設備は簡単に言うと「生産性を上げる設備」です。
しかしこのものづくり補助金で言う「生産性」は独自のルールのようなものがあります。
例えば、”省人化し生産性を上げる設備投資”ではものづくり補助金は通りません!
これらについては後ほど詳しく解説します
公募要領には「補助事業にのみ使用される設備・システム」が対象ということが書かれており、他にも
「自社で機械を製作するも対象」
「機械装置をオーダーメイドで外注製作する場合も対象」
「中古の設備も購入可能」
「レンタル・リースでOK」
など、みなさんが気になるであろう点がまとまっています!
しかしこれらの設備投資のケースは注意が必要なものもあります。
詳細は本記事の注意が必要なケースで解説をしていますので、必ず確認してください!
ものづくり補助金ではどんな設備が採択されやすい?
国が考えるものづくり補助金の趣旨に沿っていて、自社に合った設備であれば採択されやすくなります。
冒頭でも述べたように、誰がどんな設備を何のために導入するかということが非常に重要です。
ものづくり補助金では対象になる設備はどんなものか公募要領に書かれていますが、自社にとってどんな設備が採択されやすいのかということは、自分たちで考え抜かなくてはなりません。
しかし漠然と考えろ!と言われても難しいのは確かです。
hojyooでは
敵を知り、己を知った後、戦略を立て、実行(書類作成)すること
をお勧めしています。
具体的には下記のような手順で整理していきます。
STEP1:補助金の趣旨を理解する (敵を知る)
STEP2:自社に状況を分析する (己を知る)
STEP:3採択されやすい申請書のストーリーを考える (実行する)
この記事を読んでいる人で、「導入する設備は初めから決まっている!」という場合もあるかも知れません。
決まっていたとしても、その設備で採択されるのかどうかを判断する基準にもなるので、必ず①〜④はチェックしてください!
STEP1:補助金の趣旨をしっかりと理解しよう!
ものづくり補助金の目的は「生産性向上に資する革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うため、中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援する」
と公表されています。
つまりは中小企業の革新的な、開発/改善を実現させる設備投資に補助が出るということなのです。
上記の趣旨に沿わないようであれば、採択は難しいと考えられます。
革新的な開発・改善というと抽象的でわかりづらいですが、ポイントは実現させようとする開発/改善がチャレンジングかということです。
設備を導入すれば誰だって実現できるようなものでは革新的とは言えません。
「私たちの会社だからこそ挑戦できるXXの開発/改善」のような物を見つけられれば、採択される可能性は非常に高いです。
STEP2:自社の状況を分析する
実は最もみなさんが躓くのが自社分析です。
「自分のことなのになんで?」と思う人もいるかもしれませんが、自社分析を定期的にしている企業は非常に少ないのが現状です。
また本当は自社の強みになり得る技術でも”当たり前のもの”と思ってしまい、自社の強みに気づけないということも多々あります。
自社の状況を整理する上でのポイントは、自社の強みをしっかりと明確にすることです。
強みを明確にした上で、
「その強みを活かしさらに企業を成長させるには何が必要か」
といった要領で深掘りしていきましょう。
自社の強みや市場の状況などしっかりとは把握しておくと、導入設備選び・事業計画書のストーリー作りがとてもスムーズになります。
SWOT分析を使ってみよう!
SWOT分析とは自社の強みと弱み・自社にとっての市場の機会と脅威を整理するフレームワークです。
Strengths (強み)
Weaknesses (弱み)
Opportunities(機会)
Threats(脅威)
の頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれています。
SWOT分析について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→ものづくり補助金申請で使えるフレームワーク!SWOT分析など徹底解説します!
SWOT分析は以下のような表を用いて行います。
SWは内部要因、OTは外部要因です。
SWOT分析の方法
まずは順番に四角の中をなるべく多くの要素を入れていきましょう!
要素が出揃ったら内部要因と外部要因を掛け合わせて、状況を分析します。
①S×O:積極的に攻めるべき分野
②S×T:他者と差別化しやすい分野
③W×O:克服することで、成長が見込める分野
④W×T:場合によっては大打撃を受ける分野
これらを元に戦略を立て、設どのような設備を導入するか考えると、筋の通った事業計画書を作ることができます!
ポイント1:あくまで補助金申請に使うと言うことを忘れずに!
ものづくり補助金を申請するために行う分析ですので、あまりに緻密に分析しすぎても時間の無駄になってしまいます。
経営戦略を立てて実行するわけでは無いので、大まかに状況を把握できれば良しとしましょう!
ポイント2:色々な人の意見を混ぜよう!
一人で分析したのでは、偏った意見しかでなくなってしまいます。
特に自社の強みや弱みは、社内外の意見を取り入れると思わむ発見ができるかも知れません。
自社の強みなんてない。。という人もいらっしゃいますが、お客様は商品やサービスに価値を感じて購入してくれています。
「なぜうちを選んでくれたのだろう」という観点から、強みを洗い出すのも良いかも知れません!
STEP3:趣旨に沿っていて、自社の状況にあった設備を選ぶ
補助金の趣旨も理解し、自社の状況も把握したら次は導入する設備選びです!
導入する設備は初めから決まっていた場合、ここで本当に自分が選んだ設備が採択されそうか考え直して見ましょう。
STEP1・STEP2で確認した通り、
<誰が>・<何を>・<どんな設備>を導入して挑戦するかということが重要です。
例えば、
自社独自の技術をさらに高めるために必要な設備
自社独自の技術を使って新商品を作るのに必要な設備
などは採択されやすい傾向にあります。
STEP4:採択率を上げるストーリーの立て方
導入する設備が決まったら、STEP1~STEP3で整理した内容をひとつのストーリーに落とし込んでいきます。
ここで上手くストーリーにできないようであれば、STEP1に戻って考え直して見ましょう。
大枠のストーリーの立て方はSTEP2で立てた戦略とSTEP3で選んだ設備の説明をすることで出来上がります。
ポイントは
A社にOOという設備を入れれば、技術課題が解決され、A社の発展は間違いない!
ということが誰から見ても明白であれば採択されます。
例えば、
特許を持った化学繊維の会社があるとします。この企業の作る化学繊維は抗菌作用があり、テーブルクロスなどに使われています。
コロナウイルスの蔓延によって、マスクが使用が必須となった今、この企業は自社の技術を用いてマスクを作りたいと考えています。
しかし現状の生産設備では多重構造の布マスクを作ることができません。そこでものづくり補助金を用いて、自社で作る化学繊維で多重構造のマスクを開発するのに必要な設備を購入しようと考えています。
このケースではまさに、自社の強みを活かし機会の大きい市場へ参入するための課題を、設備投資によって解決しています。
このようにストーリーを描くことができれば採択される可能性は高いでしょう。
メーカーから取り寄せる必要がある提出書類!
せっかく素晴らしいストーリーができたとしても、申請に必要な書類を用意できなければ元も子もありません。
設備を購入するメーカーに用意してもらう書類はしっかりと確認しておきましょう。
ものづくり補助金で採択されない設備投資のパターンは?
一見補助金の趣旨に沿っていそうなのに、採択されない設備投資にもパターンがあります。
ここでは代表的な例を解説します。
増設での採択は難しい
生産性を上げるという観点では増設も当てはまりそうな気がしますが、基本的には採択されるのは難しいと思っていた方がいいでしょう。
ものづくり補助金では、革新的な取り組み、技術面の課題解決が求められています。
同一設備を同時に2台使うことで、何かあらたな技術の革新が起こる場合を除き難しいでしょう。
例えば、印刷した直後に重ねて印刷することで特殊な色合いを出す技術があったとすれば、2台目の設備を導入することで技術課題を解決することができます。
上記のケースを除き、増設は基本的に避けておくべきでしょう。
ものづくり補助金の設備投資で注意が必要なケース
そのほか注意が必要なケースも併せて解説しておきます。
機械の自社製造は?
自社製造は一応対象となっていますが、申請の手間を考えるとおすすめしません。
というのも自社製造で申請を行う場合、こまかなパーツ1つ1つ見積書(複数)・発注書・納品書・請求書・支払い証明書を用意しなくてはなりません。
中古設備は?
中古設備の場合でも、同一の設備の見積もりを複数社からもらう必要があります。
見積もりさえ準備できれば中古でも問題なく申請可能です。
オーダーメイドの設備は?
オーダーメイドの設備に関しては、納期に注意が必要です。
設備を発注できるタイミングは交付決定後の1~2ヶ月後ですが、補助事業期間終了の2~3週間前までには納入されている必要があります。
また事業報告書作成もする必要があるので、ある程度余裕をもって設備の納入を行なっておく必要があるので、メーカーに事前に確認をしておきましょう。
採択がゴールではありません!
補助金は採択がゴールではありません。
あくまで事業発展に必要な設備を選びましょう!
補助金が通らなかったとしても、この設備は導入すると決めている企業の方が、採択されているように思います。
本記事で解説した導入設備の選び方を1から行えば、本当に必要なのかどうかも明確になるので、一度しっかりと整理して考えることが重要です。